多国間開発銀行はG20のMDB改革に関するロードマップを歓迎

リオデジャネイロ-

多国間開発銀行（MDB）10行の首脳は本日、G20首脳による「より良く、より大きく、より効果的なMDB実現に向けたG20ロードマップ（以下MDBｓロードマップ）」の承認を歓迎した。同ロードマップは、MDBsの改革を継続し、地域的・世界的な課題により良く対応し、より多くの雇用と機会を創出し、持続可能な開発目標（SDGs）とパリ協定の目標に向けた進展を加速させるために、各国を支援するための包括的なビジョンを概説するものである。

MDBｓロードマップは、昨年のニューデリーにおけるG20首脳の助言に基づき、G20ブラジル議長国の優先事項を満たすものである。G20文書は、MDBの資金調達能力を高め、その影響力（インパクト）を最大化するための提言を概説するもの。重要な点はは、ロードマップが、開発銀行が「システムとして」さらに機能し、政府、各国・準国家開発銀行、民間セクター等とより効果的に関与することを奨励していること。

MDBs首脳グループは、ブラジルのG20議長国と緊密に連携し、MDBsが既に実施済みの広範な作業を活用。これには、MDBsが2024年4月に発表した、優先分野における16の具体的な成果物の概要を示した「ビューポイント・ノート」を含む。同ノートは、各機関間の前例のないレベルの協力を反映したものであり、この1年間でいくつかのマイルストーンに繋がるもの。ノートの成果物のうち14項目は、G20ロードマップに網羅された。MDBはまた、ロードマップの優先順位付けにも貢献し、ロードマップに整合的な支援実施に向け短期的・中期的な行動の概要を示した。

MDB首脳グループはまた、今年達成された変革的な成果のいくつかを強調：具体的には、 

• 今後10年間で融資のヘッドルームを約4,000億ドル拡大するという目標を達成。 
•  2023年のMDBの気候変動資金融資を、中低所得国向けで750億ドル、高所得国向けで500億ドルと、過去最高水準に引き上げる一方、MDBが動員する民間資金を2022年比ほぼ倍増の1,010億ドルとした。
•  中低所得国向けの総体的な気候変動資金の見積もりは、2030年までに2023年比60%増の1,200億ドルに達し、高所得国向けには更に500億ドルと見積。
• 気候変動に関する成果測定のためのMDBの共通アプローチと、カントリー・プラットフォームに関する共通認識と今後の進め方に関するノートを発出。
•  協調融資ポータルを立ち上げ、950億ドル超相当の125のプロジェクトにおいてパートナーシップを拡大する機会を提供。
• グローバル・エマージング・マーケット・リスク・データベース（GEMs）コンソーシアムを通じ、より詳細な統計情報を含む2つの新出版物を公表、投資家に新興市場および途上国の信用リスクに関する更なる洞察を提供。
• 取引コストを削減し、サプライチェーンの効率性と持続可能性を向上させるため、調達慣行の調和を強化するとともに、MDBs間の調達における現在の13の相互信頼協定（mutual reliance agreements）を拡大する努力を推進。
• 現地通貨建て融資とヘッジ手段を拡大することにより、民間部門の流動化を促進するための作業を前進。
•  貸出能力を高め、弾力性を構築するため、ハイブリッド資本の公募とポートフォリオ保証を発行、MDBsを通じた特別引出権（SDR）チャネリングに関する先駆的な提案を推進。

なお、ビューポイント・ノートの成果物に関する進捗状況の一覧は、以下を参照のこと： ビューポイント・ノート実施表

今年のモメンタムを土台とし、G20ロードマップとその勧告の優先順位付けに基づき、MDBsは改革アジェンダの実施を進め、既存の報告メカニズムを活用し、それぞれのマンデートとガバナンスの枠組みに沿って、進捗状況を追跡するためにG20南アフリカ議長国に関与してゆく。

MDBs首脳グループの議長の役割は、2024年12月2日に米州開発銀行から欧州評議会開発銀行に引き継がれる。

MDBs首脳グループは、米州開発銀行のイラン・ゴールドファイン総裁に対し、同グループ議長としてのリーダーシップと献身に感謝の意を表する。