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総務会、地域を支援するための3つの歴史的かつ変革的な改革を承認 2024年3月10日

  • IDBグループの影響力(Impact)と規模を拡大
  • IDB及びIDBインベスト総務会において、2024年から2030年を対象とした新たな「組織戦略」を承認
  • IDBインベスト:新たなビジネスモデルと35億ドルの資本増強を承認
  • IDBラボ:4億ドルの追加資源と、より拡張可能があり触媒的なビジネスモデルを承認


プンタカナ(ドミニカ共和国) – 米州開発銀行(IDB)およびIDBインベストの総会において、中南米・カリブ海諸国における開発支援の影響力と規模を拡大するための3つの重要な改革が承認されました。この中には、IDBインベスト(グループの民間セクター向け部門)の新たなビジネスモデルを支える35億ドルの資本増強や、新しい「組織戦略」の採用が含まれています。また、IDBラボ(グループのイノベーションおよびベンチャーキャピタル部門)には、4億ドルの追加拠出と、より拡張性があり、民間資金動員の触媒効果を果たす、持続可能なビジネスモデルがIDB総務会により承認されました。

今回の戦略は、2024年から2030年にわたり、IDBグループが取り組む最前線の業務方針として、より大きな開発成果(リザルツ)と影響を生み出すことを目指しています。具体的には、加盟国との連携をより成果重視のプログラム型アプローチへと進化させ、融資ツールや測定指標の強化、ナレッジ分野への投資拡大、そしてIDB、IDBインベスト、IDBラボ全体での影響力(Impact)重視と実力主義の文化の醸成を含む改革を実施します。
 これらの改革案は、第64回IDB年次総会と第38回IDBインベスト総会の終了時に、IDBグループ48加盟国財務省等の代表者からなる各々の総務会によって承認されました。

イラン・ゴールドファインIDB総裁は以下の通り述べました。
「今回の年次総会はIDBの65年の歴史において非常に画期的なものとなりました。初めて、総務会が同時に3つの重要な改革を承認し、IDBグループをより大規模で優れた、そしてより迅速に対応できる組織へと変えることができるでしょう。この3つの変革によりラテンアメリカおよびカリブ海地域が直面する課題に取り組み、その潜在能力を引き出すーすなわち全ての国民がよりインパクトのある大規模な生活向上を実現する―といった開発の転換点を発火させるために支援を行う我々の能力が大きく向上します。」

さらに、同総裁は、「私たちの(LAC)地域は、社会的需要の増加、財政資源の不足、そして低成長という三重の構造的課題に直面しています。しかし同時に、LACが世界共通の課題に対する解決策の一部となる大きな機会もあります。この改革は、IDBグループだけでなく、地域全体にとっての転換点となる可能性があります。」と付け加えました。
 戦略目標と規模の拡大
新しい「組織戦略」では、3つの主要目標を掲げています。貧困と不平等の削減、気候変動への対応、そして持続可能な地域成長の促進です。
これら目標を達成するため、IDBグループは7つの運営重点分野に取り組みます。そのうち3つは、すべての分野に横断的に関わるテーマです。生物多様性、自然資本、気候行動;ジェンダー平等と多様な人々の包摂;組織能力、法の支配、市民の安全の確保です。その他の4つの重点分野は、社会保障と人的資本の発展;民間セクターを通じた生産的発展とイノベーション;持続可能で強靭かつ包摂的なインフラの整備;地域統合の促進です。
これらの目標を達成するために、IDBグループは財務能力をさらに強化していきます。
35億ドルの資本増強と新しいビジネスモデルにより、IDBインベストは、現在の年間約80億ドルの資金供給能力を約190億ドルに拡大できるようになります。
新しいIDBインベストのビジネスモデルでは、インパクト重視の「創出から共有へ(Originate to share)」のアプローチに移行し、より多くのリスクを取ること可能となり、現地でのプレゼンスを拡大し、革新的な支援商品(プロダクト)を活用してプロジェクトやポートフォリオレベルでの成果を向上させることが可能になります。

IDBグループが地域における社会的包摂、気候変動対策、そして生産性向上を促進し、さらにイノベーションを活用できるようにするため、IDBおよびIDBインベストの総務会は、IDBラボが業務運営モデルを強化し、開発のためのイノベーションハブとして機能することを内容とする提案を承認しました。この承認により、IDBラボは2026年から2032年の間に活用するため、4億ドルの新たな資金の調達が可能となります。

このハブモデルは、高いリスク受容度、草の根ネットワーク、資金調達の機動性といったIDBラボ独自の特長を生かして構築されています。これにより、資金投入1ドルあたりの資源動員を3倍にし、プロジェクトの規模を40%拡大することを目指します。さらに、この新しいモデルは、すべてのIDBラボのプロジェクトが貧困層や脆弱な人々に裨益をもたらすよう支援することとされています。

IDBグループの組織機関戦略は、IDBグループ全体に亘るIDB、IDBインベスト、IDBラボ間での(支援の)相乗効果を強化することを目指しています。
また、同戦略は、統合的なシステムの一部として、IDBグループが他の多国間開発銀行(MDB)と連携することも求めています。
IDBグループは、開発ギャップを解消し、気候変動への対応を強化するために、より多くの資源を動員する革新的な金融手段の開発を一層推進していきます。これまでにも、IDBグループは、債務交換による自然保護の促進(debt for nature swaps)や、自然災害に見舞われた国の債務返済を一時停止する気候耐性債務条項(climate-resillence debt clauses)、通貨ヘッジプラットフォーム、自然環境や気候目標を達成した借り手を報いる新たな方法(例えばIDB CLIMA他)など、革新的な解決策を先駆的に導入してきました。

新しい組織戦略は、IDBインベストの新しいビジネスモデルと資本増強、さらにIDBラボの新しいビジネスモデルと合わせて、金融イノベーションと民間セクターの資金動員(クラウドイン)を投資判断の中心に置くことで、グループの活動規模を拡大します。これらにより、選択的なアプローチを強化し、民間投資家を大規模に巻き込むことが可能となります。これらの改革と、(グループ内の)各機関のバランスシートの最適化努力を組み合わせることで、IDBグループは今後10年間で最大1,120億ドルの融資能力を高めることができるようになります。

より大きな影響をもたらすための改革
新しい組織戦略に盛り込まれた改革の中で、IDBグループはその体制、運営、組織文化においてその影響力(Impact)と開発の有効性を深く組み込むことを目指します。

新しい開発効果枠組み(impact framework)は、組織の優先事項を明確な指標に変換するための測定可能な指標を含み、これは、IDBグループのパフォーマンスを監視し、測定するための主要なツールとなります。

新しい組織戦略は、IDBグループ内でインパクト(重視)の文化と実力主義を強化するための内部プロセスの見直しも含んでいます。最初の優先事項は、成功を明確に定義し、定量化して進捗を測定し、意図した開発効果(Impact)を評価することです。このインパクト重視の方針に加えて、IDBグループは人事プロセスにも手を加え、選考方法を含めた実力主義の文化の確立を目指していきます。

新しい組織戦略には、各国へのトレーニング支援を含む、ナレッジへの投資をより一層大きく、効率的に行うための提案も含まれています。また、これまでのプログラムや事業の成功事例や失敗事例を集めた「ケース」を纏めたカタログを作成することも求められています。これにより、グループは蓄積された証拠に基づくナレッジ(知見)を活用し、加盟国により質の高い助言を提供できるようになります。これによりIDBは、地域のナレッジバンクとしての役割を果たすことができるようになります。

組織戦略には、加盟国にとって(支援の)共同のツールボックスとなるよう、グループの融資手法の見直も含まれています。具体的には、政策支援型融資(PBL)の改革を提案し、PBLの質と影響(インパクト)を高めることを目指しています。この改革により、PBLの質、妥当性(relevance)、説明責任を強化し、資金動員を促進し、民間セクターの発展を支える環境を整え、地域および世界の公共財を提供する改革を戦略的に支援することが可能になります。

これらの改革やその他多くの改革を実施するためのロードマップが、IDBおよびIDB理事会によって承認されました。
 ゴールドファイン総裁は以下のように結語を述べました。
「総務会の支援と助言に心から感謝しています。スタッフ一人ひとりの才能、創意工夫、そして献身には大変感謝しており、彼らに自信を持っています。これらの改革を進め、私たちの機関をより柔軟で機敏なものにすることで、さらに大きな影響(インパクト)を与え、より広い規模で成果を上げていくと確信しています。私は、これらの改革を『IDBImpact+』と呼び、この新しい枠組みを通じて、我々はより多くの影響と規模を実現していきます。」

IDBについて

米州開発銀行(IDB)は、ラテンアメリカおよびカリブ海地域の人々の生活向上に貢献しています。1959年に設立されたIDBは、この地域の公共セクターと協力し、持続可能で包括的な開発のためのインパクトのある革新的なソリューションを設計し、実現するために活動しています。融資、技術的専門知識、知識を活用し、26カ国の成長と福祉を促進しています。ウェブサイトはこちら 

https://www.iadb.org/en

報道関係者連絡先

Bachelet,Pablo A.

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Alvarez-Rodriguez,Isabel María

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