米国ワシントンD.C. - 2024年11月12日、米州開発銀行(IDB)は2024年度イノベーションチームアワードの受賞者を発表し、日本のスタートアップ企業OUI Inc.が参加するIDB Labのプロジェクト「Aldeia em Foco」(ビレッジ・イン・フォーカス)が実証部門を受賞しました。
OUIInc.のスマートアイカメラ(SEC) による診察
現地NGOのInstituto Suel Abujamraが実施機関として進める同プロジェクトは、世界で10億人超が抱えているとされる白内障などの視覚障害の早期発見と眼科医療の提供を目的とし、ブラジルの先住民を対象に、眼科の遠隔診断モデルの構築の実証を進めています。慶應義塾大学医学部発のスタートアップ企業OUI Inc.が、AI(人工知能)とスマートフォンに取り付ける医療機器デバイス「スマートアイカメラ(SEC)」を使用した技術を提供。従来は専門病院で大きく高価な機器を必要とした診断を、先住民居住地域などの僻地を含む医療アクセスの乏しい地域に普及させる狙いがあります。また、現地パートナーの専門眼科医・医療スタッフが診断を実施し、近視・遠視の患者に無料で眼鏡を支給しています。
眼科医と医療スタッフによるブラジル先住民の診察
2022年6月、このプロジェクトはIDB日本信託基金の支援を受け、患者の地理的・社会経済的条件に合わせた眼科医療プロトコルの開発を開始しました。成果が上がりつつあることから、このタイミングで同アワードに応募し、今回の受賞に至りました。今後は2025年中を目処にプロジェクトの効果を検証し、他地域での適合性や展開可能性等を検討していきます。また、本プロジェクトは2021年にIDB Labが開催した中南米・カリブ地域における高齢化関連ソリューションを募集するコンテストで選定され、IDBグループが推進する高齢化に焦点を当てたシルバーエコノミー・イニシアティブの先進例のひとつとなっています。
IDBイノベーションチームアワード授賞式:IDB総裁イラン・ゴールドファイン(右から2人目)とプロジェクトチーム
今回の受賞を受け、IDB Labのイレネ・アリアスCEOは、「日本のような先進的な起業エコシステムが生み出す最先端ソリューションが僻地での医療という最も重要な開発課題の一つの解決に貢献するという素晴らしい事例。本プロジェクト及びIDBグループの活動に対する日本からの支援に改めて感謝するとともに、イノベーションを活用し中南米・カリブ海地域の人々の生活を向上させるこのような協業の機会を今後とも模索していきます」としています。また、眼科医でもあるOUI Inc.の清水映輔CEOは「本プロジェクトに参画でき大変光栄です。我々眼科医にとって患者の視力を守るのは患者の命を守るのに近い重みがあります。IDB LabやInstitute Suel Abujamra、そして他のパートナーと連携し、世界における予防・治療可能な失明と視覚障害を減らすべく、我々の技術を活かしながら最大限の努力を続けていきます」と話しています。
IDBについて
米州開発銀行(IDB)は、ラテンアメリカおよびカリブ海地域の人々の生活向上に貢献しています。1959年に設立されたIDBは、この地域の公共セクターと協力し、持続可能で包括的な開発のためのインパクトのある革新的なソリューションを設計し、実現するために活動しています。融資、技術的専門知識、知識を活用し、26カ国の成長と福祉を促進しています。ウェブサイトはこちら
Garcia,Geraldine
米州開発銀行と日本の取り組み
日本は1976年に初の非地域加盟国となりました。それ以来、日本は資金面と人的資源の両面で貢献し続けています。
米州開発銀行
米州開発銀行は、中南米・カリブ海諸国(LAC)に対する開発資金の主要な供給源です。人々の生活向上に貢献できるように、
イノベーションラボ
IDB Lab is the innovation and venture capital arm of the Inter-American Development Bank Group.
株式会社OUI
Oui Inc. is Japanese medical startup founded by ophthalmologits from Keio University School of Medicine.
ビレッジ・イン・フォーカス: 先住民の眼科医療
Video on Village in Focus: Indigenous Eye Health.