クリーンエネルギー・プロジェクトがラ米諸国にもたらすイノベーション
代替エネルギーノ生産で世界のトップに立つラ米諸国

ベン・モシンスキー

ラ米諸国の起業家たちが、昨今の石油危機や化石燃料の枯渇といった問題への革新的な解決策を生み出している。このイノベーションには2つの効果が期待できる。第1に、エネルギー市場の需給ギャップに着目した新たなビジネスを考案する段階で、起業家は自らの企業の成長と雇用の創出を図ることができる。第2に、化石燃料に比べ、よりクリーンなエネルギーを生み出す代替エネルギー源を活用すれば、その分、環境への悪影響を抑えることができる。ラ米諸国のこうした取り組みは現在、世界の注目を集めており、ブッシュ米大統領は2007年3月のブラジル訪問時に、両国の間でクリーン燃料の生産技術を共有し、同燃料の取引を活発化させる考えを明らかにした。例えばサトウキビを原料にラ米で生産されるエタノール燃料は、生産に要するエネルギーの8倍のエネルギーを生み出すため、価格面でもエネルギー効率面でも国際的に強い競争力を誇っている。(『Multilateral』October-December 2007掲載記事)

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クリーンエネルギーの革新的利用
エクアドルの水力発電所「ハイドロアバニコ」の事例から

エクアドルのアバニコ川流域に建設予定の水力発電所、「ハイドロアバニコ」への融資が完了した。慢性的なエネルギー不足に直面してきたエクアドルが、エネルギー需要の6割を水力発電で満たす世界有数の国へと変化を遂げようとしている。米州投資公社(IIC)からの融資を受けるハイドロアバニコ建設プロジェクトでは、約300件の新たな雇用創出も見込まれるが、このプロジェクトの真のイノベーションはその融資の手法にある。2004年12月、世界銀行のカーボン・ファイナンス・ユニット(CFU)は、同プロジェクトから炭素クレジットを購入することに合意。同クレジットはオランダ政府に売却され、オランダでの公共事業に活用される仕組みとなっている。これはエクアドルが実施した初の炭素クレジット取引で、ハイドロアバニコの運転が開始されれば、6年間で約80万6,28 0トンの温室効果ガス削減効果も期待できる。同プロジェクトには今後さらなる投資が期待されるとともに、炭素クレジット取引を活用した同様のプロジェクトの火付け役となることも見込まれている。(『Multilateral』October-December2007掲載記事)

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グアテマラのピニョン松
小さな果実が生み出すバイオ燃料

すぐれたアイデアは時に予期せぬところから生まれるものだ。起業家のリカルド・アストゥリアスは米州農業協力機関でコンサルタントを務める中、グアテマラに豊富にあるジャトロファというピニョン松からバイオ燃料を生産できることを学び、そこにビジネスチャンスを見出した。事実、ピニョン松の実から採取される油の4割は加工処理しなくてもディーゼルエンジンに使用することができる。このことからもピニョン松がバイオ燃料の生産に適した植物であることが理解できるだろう。ガソリン価格の高騰で代替エネルギーの市場が活性化すると予測したアストゥリアスは、グアテマラ政府の技術イノベーション支援事業から5,000ドルの資金援助を受け、安価でクリーンな燃料を大量生産するビジネスを起ちあげた。プロジェクトは順調に進み、現在アストゥリアスの工場では、周辺地域の天然資源から1日600ガロンの燃料を生産する能力を備えるに至っている。大量生産による規模の経済で利益をさらにあげるべく、アストゥリアスは1,000万ドルの追加資金獲得を目指しているところだ。(『Multilateral』October-December 2007掲載記事)

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写真『Multilateral』(プレスグループ・ホールディングズ・ヨーロッパS.A.社(Pressgroup HoldingsEurope S.A.)刊)は、ラ米・カリブ海諸国や西欧諸国で広く読まれている米州開発銀行グループの季刊誌で、英語、ポルトガル語、スペイン語で発刊されています。