特集
IDBモレノ総裁の来日

“アジア・ラテンアメリカ及びカリブ海 地域民間部門フォーラム”の開催に際し、IDBモレノ総裁は9月20日から3日間の日程で来日し、財務省、外務省、日本銀行等の幹部との面談を含め、日本の主な関連団体との関係強化を深めるべく対話を交わしました。また、フォーラム当日には経団連三木副会長主催の朝食会が開かれ、ヒル・ディアス大蔵大臣(メキシコ)、バスケスパナマ運河担当大臣(パナマ)、IDB幹部および在京ラテンアメリカ大使と日本の経済界の代表者との間でラテンアメリカと日本のより一層の経済協力について活発な議論が行われました。

谷垣前財務大臣との面談
日本銀行福井総裁との面談
 
谷垣前財務大臣との面談
日本銀行福井総裁との面談
 
金田前外務副大臣との面談
JBIC森田副総裁との面談
 
金田前外務副大臣との面談
JBIC森田副総裁との面談
 

経団連三木副会長主催の朝食会

経団連三木副会長主催の朝食会

“アジア・ラテンアメリカ及びカリブ海地域民間部門フォーラム”の開催
「アジア・ラテンアメリカ及びカリブ海地域民間部門フォーラム」は、IDBモレノ総裁のイニシアティブの下に国際協力銀行(JBIC)との共催という形で9月22日(金)に開催され、関係政府機関、経済団体などの後援もあり、成功裡に開催されました。開会式では、本年のIDB年次総会で総務会議長を務められた財務省竹本前副大臣、JBIC篠沢総裁に続いて、IDBモレノ総裁が挨拶を行ない、ラテンアメリカとアジアとの地域を越えた民間部門の関係強化、投資・貿易拡大の重要性などといった開催の趣旨が説明されました。フォーラムは2部構成で、合間にJBIC主催の昼食レセプションも開催され、参加者全員が活発な交流を持つ場となりました。

各セッションの詳細は次の通りです。

セッションI:ラ米・カリブ海諸国のビジネス環境

セッションIでは、メキシコのヒル・ディアス大蔵大臣をはじめ、ラテンアメリカからの著名なスピーカーと内海日本格付研究所社長(元財務官)、堀坂上智大学イベロアメリカ研究所長、塚本JETRO副理事長といった日本側モデレーター、スピーカー等を迎え、それぞれの見地に立ったラテンアメリカの情勢についての発表が行われましたが、一貫した結論としては;1)ラテンアメリカ経済を支えている食糧、資源輸出の好調をうけマクロ経済は安定していること;2)また悪名高かったハイパーインフレもここ10年間は10%以下、最近では5%台で推移していること;3)以前は17カ国あった軍事国家も現在ではすべて民主国家になっていること;4)イラク、イラン、アフガン、ロシア等、混沌としている情勢が見受けられる中で、中南米情勢は安定していること、などの要因から、中南米はいまだかつてないほど、投資環境が整っている一方で、ビジネス環境のインデックスがアジア等と比べてもまだまだ低いことから、インフラの不足などの要因とともに、改善すべき点が見られることも指摘されました。他方、そのような状況も民間部門にとってはビジネスの対象になるともいえるのは事実であり、長期的な視点でビジネスを検討し、現地パートナーとの協力が成功には不可欠であることも付け加えられました。

セッションII:ラ米・カリブ海諸国におけるビジネスチャンス

セッションIのマクロ的な内容を受けて、テーマをより絞った2つのパネルを設け、パネル2-1ではエタノール等持続可能なエネルギーに関して討議を行い、元エネルギー庁長官で住友商事の岡本専務執行役員がモデレーターを務め、ブラジルのバイオ燃料の活用状況・見通しや再生可能エネルギーを取り入れているセメックスやトヨタ自動車の代替エネルギーに対する取り組み等が発表されました。ブラジルが一次エネルギーの三分の一を再生可能エネルギーのソースとしていることは、日本、アメリカ、EUの約5%と比較しても驚くべき数字であり、またさとうきびの生産余力がかなりあることから、引き続きエタノールの生産国として世界をリードすると見られるが、エタノールの増産、効率のいいロジスティックのためにはインフラ等、サプライチェーンへの投資が必要であることが述べられました。このセッションでの結論は、地球温暖化を防ぐためには、可能な限り再生可能なエネルギーを活用することは絶対に必要で、そのためにはアジアとラテンアメリカが協力を惜しんではいけないというものでした。


パネル2-2は、インフラに関するもので、JBIC斎藤理事がモデレーターを務め、民間部門からのラテンアメリカのインフラ開発への投資の重要性についてIDB豊田民間部門局長、バスケスパナマ運河担当大臣などによる討議が行われました。現在のラテンアメリカ向けの投資は既存のインフラ維持だけで、毎年GDPの5%、韓国並みの水準にするには今後20年間、毎年GDPの4%程度の規模が必要となるが、実際はGDPの2%程度の投資しか行われていないことが述べられ、IDB民間部門局は中米地域、南米地域双方で、それぞれPPP、IIRSAといった地域統合インフラ・プロジェクトを推進すること、また中央政府のみならず地方政府などへの融資など柔軟な支援を行うことに重点をおいて対応する、そして今後5年間で120億ドルをインフラ・プロジェクトに融資することを目標としていると表明されました。また、10月22日の国民投票を経て、総額50億ドル、今後8年間にわたる大規模なパナマ運河拡張計画が始動する見込みであり、日本企業の参加に強い期待感が表明されました。

   
   
   
   
竹本前財務副大臣による開
会の辞
JBIC篠沢総裁主催による昼食レセプション
竹本前財務副大臣による開会の辞 JBIC篠沢総裁主催による昼食レセプション
   
   
パネル1-1:ラ米・カリブ海諸国地域の政治・経済見通し
パネル1-2:ラ米・カリブ海諸国地域の投資状況
パネル1-1:ラ米・カリブ海諸国地域の政治・経済見通し パネル1-2:ラ米・カリブ海諸国地域の投資状況
   
   
   
   
   
パネル2-1 ラ米・カリブ海諸国地域におけるビジネスチャンス
パネル2-2 インフラ関係
パネル2-1 ラ米・カリブ海諸国地域におけるビジネスチャンス パネル2-2 インフラ関係
日本IDB奨学金受給生の来日

2006年10月4-6日の3日間、IDB駐日事務所では日本−IDB奨学金受給学生を対象とした研修セミナーを開催しました。


1996年より毎年実施している日本でのこのセミナーは、日本−IDB奨学金受給学生の中から優秀な学生を選んで日本に招聘し、米州開発銀行の活動や中南米と日本との関係を学んでもらうと共に、日本の文化・社会などに直に触れてもらうことを目的として行っているもので、本年度はアメリカ(南北米)、ヨーロッパ(イタリア・スペイン)及び日本の大学(島根大学、筑波大学)で学んだコスタリカ、コロンビア、ドミニカ共和国、ニカラグア、ブラジル、ペルー、ホンデュラス、メキシコ出身の学生計10名が参加しました。


研修一日目は財務省を表敬訪問し、古澤満宏審議官と日本とラ米との関わりについて討議し、今後の学生の自国での担うべき役割とその活躍について激励を受けました。引き続きIDB駐日事務所にて、ファウスト・メディナ-ロペス次席より米州開発銀行の役割等についての説明を受け、また元IDBバルバドス事務所次席渡邊昇氏より日本の社会と文化についての大変興味深い講義を受けました。その後行われた奨学生の発表会においては約70人もの聴衆の参加を賜り、財務省小林敏雄審議官(元IDB駐日事務所長)より開会の辞を頂いた後、学生によるそれぞれの国について、また、個々の学んだ専門分野についてプレゼンテーションが行われ、活発な質疑応答が行われました。引き続き行われたレセプションでは(独)国際協力機構上田善久理事(IDB駐日事務所初代所長)より歓迎のご挨拶を賜り、打ち解けた雰囲気の中、各界(官・民・学)の方々と交流を深めました。

二日目は筑波大学の留学生との交流会においては、“経済・社会発展のツールとしての奨学金と頭脳流出”をテーマに、ラ米のみならず世界各国からの留学生と大変意義深い意見交換を行いました。

三日目はまず、三菱商事株式会社を訪問し、戦略研究所アシスタントマネージャーの田中真紀氏、および地域総括部米・欧州・中東チーム、マネージャーの田中仁郎氏より日本独特の形態である“総合商社”について、ラ米との関わりや三菱商事の歴史、同社のビジネス・モデル等について貴重な講演を頂き、学生からは活発な質問が飛び交っていました。プログラムの最後としてパナソニック東京センターを訪問し、最先端の技術を見学し、松下電器産業株式会社の企業としてのコンセプト、次世代エネルギーについて細やかな説明を受けました。


わずか3日間の短い研修ではありましたが、学生たちはIDBの役割についてまた、日本の文化・社会についても改めて理解を深め、刺激を受けたものと考えています。帰国後、母国での彼らの大いなる活躍を期待しています。

元IDBバルバドス事務所次席渡邊昇氏による講義
財務省古澤審議官との面談
元IDBバルバドス事務所次席渡邊昇氏による講義
財務省古澤審議官との面談
日本−IDB奨学金制度は米州開発銀行と日本政府の合意に基づいて1991年に設立された制度。100%日本政府拠出の資金により運営されており、米州開発銀行の借入加盟国の学生に大学院で開発関連分野を学ぶ機会を与え、彼らが培った知識と技能を自国の社会・経済発展のために貢献できるよう支援することを目的とする。設立以来、のべ約570人が受給しており、卒業後は最低2年間、母国に戻って仕事に就くことが義務付けられている。本年度の卒業生は約40名。
スパゲティボウル状態のFTA
IDB駐日事務所は2006年8月18日、アジア開発銀行(ADB)と太平洋経済協力会議(PECC)との共同で実施される「東アジアとラテンアメリカにおけるスパゲティボウル状態の自由貿易協定との共存」と題した調査プロジェクトのブレーンストーミングミーティングを開催しました。ミーティングでは、国際貿易の専門家、研究者、開発担当者および実践者により意見交換がなされ、昨今複雑に絡み合いつつある東アジアとラテンアメリカ間の地域間、二国間貿易協定のインパクトを調査する上でのコンセプト、調査実施方法、及び技術的な問題点が討議されました。
ADB地域経済統合室河合正弘室長
ADB地域経済統合室河合正弘室長
アジアPPP推進協議会へのプレゼンテーション
2006年9月20日にIDB駐日事務所にて、パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)によるインフラ案件への日本企業の参画に向け、業界としての様々な働きかけを行っているアジアPPP推進協議会とのミーティングが開催されました。席上、IDB民間部門局・豊田局長より、IDB民間部門局のインフラプロジェクトへの積極的支援をはじめとする最近の取り組み、よりフレキシブルになった支援ツール、実績等が説明されました。ラテンアメリカ・カリブ海地域では、パナマ運河拡張計画、地域インフラ統合計画等、インフラに関する大型案件が数多く計画されており、日本企業の参加が期待されているところで、今回のミーティングは豊田局長の来日をとらえた良い機会となりました。
IDB民間部門局豊田局長
IDB民間部門局豊田局長
韓国-ラテンアメリカビジネスフォーラムへの参加
IDB駐日事務所は、2006年9月25-26日にソウルにて行われた「韓国-ラテンアメリカビジネスフォーラム」に、韓国外務通商部、韓国貿易協会(KITA)、韓国国際経済政策研究所(KIEP)などと共催として参加しました。このフォーラムは毎年開催されており、今年は第10回という節目の年として、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)マチネア事務総長を基調講演に招き、盛大に開催されました。初日は、ラテンアメリカの好調なマクロ経済や政治情勢および自由貿易協定交渉に関するトピックが討議され、二日目は韓国企業によるラテンアメリカへの直接投資の現状や、科学技術や繊維部門等のビジネスチャンスが紹介されました。IDB駐日事務所のメディナ-ロペス次席も討議者として参加いたしました。
韓国-ラテンアメリカビジネスフォーラム(写真中央:マチネア事務総長)
韓国-ラテンアメリカビジネスフォーラム(写真中央:マチネア事務総長)
APEC公式シンポジウム「東アジアにおけるFTAの形成とAPECの役割」
IDB駐日事務所は、9月26-27日に青山学院大学にて開催された慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)渡邊頼純研究プロジェクト主催によるAPEC公式シンポジウム「東アジアにおけるFTAの形成とAPECの役割」にも協力し、IDB駐日事務所のメディナ-ロペス次席が「ラテンアメリカ諸国のFTAに関する経験とAPEC」のセッションにゲストスピーカーとして参加いたしました。
渡邊頼純教授、研究プロジェクトスタッフとメディナ-ロペス次席
渡邊頼純教授、研究プロジェクトスタッフとメディナ-ロペス次席
日智・日亜合同経済委員会への参加
IDB駐日事務所は、9月6-7日にサンチャゴで開催された日智経済委員会、9月11日にブエノスアイレスで開催された日亜合同経済委員会に参加し、日本と両国の経済界の交流に協力しました。IDB駐日事務所鹿戸所長は、日本企業の活動に関するパネル討議に参加しました。
パネル討議に参加したIDB駐日事務所鹿戸所長
パネル討議に参加したIDB駐日事務所鹿戸所長