IDB加入加盟国紹介
エル・サルバドル
エル・サルバドル地図
エル・サルバドルは中米7ヶ国を構成する一国です。国土は21,040平方キロメートル、アメリカ大陸でもっとも小さい国です。地理的に恵まれた中米の中心に位置し、北から北東にかけてはホンデュラス、北西にはグアテマラと国境を接し、南東のフォンセカ湾のむこうにはニカラグアがあります。南の国境は太平洋岸に面し、美しいビーチがたくさんあります。人口は627万6千人で、民族グループは三つにわかれます。純血のヨーロッパ系民族が全体の6パーセント、メスティソとよばれるヨーロッパ系と先住民族の混血が91パーセント、先住のマヤ系民族である純血のピピル族が残りの3パーセントです。エル・サルバドルは共和制国家で、民主的な投票によって大統領を選出、任期は5年で再選は禁止となっています。政権は三権分立をとっており、立法、司法、行政機関がそれぞれ独立しています。公用語はスペイン語です。しかし経済活動をおこなう人々の多くが英語を使っています。通貨はコロンと米ドルの両方が使われています。米ドルとサルバドル・コロンが長年にわたり、ほぼ一定の為替レートを維持していたため、2001年エル・サルバドルは経済の「ドル化」をはかり、すべての金融取引において米ドルも公式な通貨と認めるようになりました。この「ドル化」でサルバドル・コロンを1ドル8.75コロンに固定したことが、国や来訪者、投資家にとって重要なメリットを生みだしています。他の熱帯の国と同様、エル・サルバドルの気温は季節によって変化することはありませんが、土地の標高による差があります。低地は熱帯、高地は温帯となっています。雨季は5月から10月、乾季が11月から4月で、年間平均気温は28℃です。エル・サルバドルには火山の景勝地や熱帯雨林、開放感いっぱいのビーチ、閑静なコロニアル建築の街並み、そして考古学的に名高い古代マヤ遺跡など、観光で訪れるお客様にお楽しみいただける名勝がたくさんあります。

文化、産業の基盤
道路や国道は近代的で、よい状態を維持しているので国内を効率よく移動できます。通信業界の民営化と近代化を推進することで、国際貿易におけるエル・サルバドルの重要性が増してきました。サン・サルバドルには最高級ホテルや流行の先端をいくショッピング・センター、自信をもっておすすめできるレストランがあり、エル・サルバドルならではの料理も、国際色豊かな料理も楽しむことができます。首都のサン・サルバドルは、1525年スペインの征服者たちによって設立されました。もとはヴィラ・デ・サン・サルバドルと呼ばれていました。再三にわたってマヤのピピル民族による反乱が起きたため、1528年に首都は美しいコロニアル風の街スチトトのすぐ南にあるラ・ベルムーダに移されました。1532年首都はふたたび現在の場所にもどされました。この街は「ハンモックの谷」と呼ばれる渓谷に位置していますが、これは地震が頻繁におこることにちなんでつけられた名前です。観光の際は、歴史の中心地を訪れれば、この古い街の1800年代の建築物をご覧になれます。国立宮殿は伝統的なスペインの都市建築で、カテドラルとともに中央広場に建てられています。国立宮殿は一般に公開されています。宮殿内には部屋が105室もあり、ここに19〜20世紀前半、政府の三機関が設けられていました。メトロポリタン・カテドラルの建築はビザンチンやローマの影響を受けています。著名なサルバドル人アーチスト フェルナンド・ヨルトによるユニークなデザインが施されたカテドラルは、古都の心臓部に位置した絶好の観光スポットです。ソナ・ロサは夜の繁華街で、街中でもっとも高級な地域にあります。高級ショップやホテル、レストランなどの集まった場所です。

文明へのいざない
中米で最も利用率が高いエル・サルバドル国際空港
中米で最も利用率が高いエル・サルバドル国際空港
エル・サルバドルはマヤ文明圏への南の玄関口で、中米で最も近代的で、利用率の高い空港があります。日本の財政補助によって建設されたこの空港は、国際線、国内線の発着点となっています。エル・サルバドルはマヤ文明圏への旅をはじめる出発点として理に叶った場所といえます。まずは考古学的にも最も興味深いホヤ・デ・セレンを訪ねてみましょう。ここは1400年ほど前に火山灰に埋没したマヤの村があった所です。「アメリカ大陸のポンペイ」と呼ばれるのにふさわしいホヤ・デ・セレンは、この地域にある他のマヤ遺跡と違い大きな宮殿や寺院はありませんが、一般のマヤ族がどのような暮らしをしていたかがうかがえる、めずらしい遺跡のある場所です。ホヤ・デ・セレンは考古学的にきわめて重要な意味をもつ遺跡であると評され、1993年UNESCOの世界遺産に指定されました。これまでに日本を含む多くの有名大学の参加により、ホヤ・デ・セレン遺跡全体のほんの一部で発掘作業が行われました。この発掘から住居や公衆サウナなどの公共建造物が見つかっています。ブルドーザーによる工事作業中、偶然この村が発見され、それから2年後の1978年に発掘が始まったのです。考古学者は西暦600年代の火山の噴火によって村が埋没したものと見ています。ホヤ・デ・セレンでは人の遺体らしきものは見つかっておらず、死をもたらす熱い灰や溶岩の雨が降り出す前に、住民が家を捨てて避難する時間があったのだと推測されています。すべてがそのまま放置されていたことで、発掘されたものの中から当時の食事の内容をもうかがい知ることができました。

エル・サルバドル最古の遺跡のひとつであるタスマル遺跡
エル・サルバドル最古の遺跡のひとつであるタスマル遺跡
この近くのサン・アンドレス遺跡では、古典期の後期(西暦600〜900年)に12,000人もの人々を収容して地域の儀式が行われた建物の遺構が見つかっています。ここでは興味深い考古学博物館を訪れるとよいでしょう。エル・サルバドルの西部に位置するチャルチュアパの街には小さな公園があり、タスマル遺跡があります。エル・サルバドル最古の遺跡のひとつで、紀元前1200年ごろ興ったとされ、オルメク文明の彫刻がふたつ残されています。チャルチュアパのカサブランカ遺跡は、日本政府の援助で発掘が行われています。敷地内には、この地方特有の植物からとった天然有機染料、インディゴの資料館もあります。19世紀に合成染料が発明される前の200年間にヨーロッパで使われた天然藍の染料は、ほとんどがエル・サルバドルのものだったのです。日本の技術支援により、インディゴ産業は再生され日本は主要なマーケットとなっています。サン・サルバドル市内のダビッド・J・グスマン国立人類学博物館を訪れれば、エル・サルバドルの歴史の流れを把握することができます。コロンブス来航以前のセクションには、陶器や黒耀石の石器の他、当時の工芸品などが展示されています。この博物館を起点に、エル・サルバドルの数々の遺址、史跡名所をめぐられるとよいでしょう。

花の道
コロニアル風の美しいスチトトの街並み
コロニアル風の美しいスチトトの街並み
エル・サルバドルで一番人気の高い観光ルートの一つです。ナウィサルコ、フアユア、アパネカの街めぐりをお楽しみいただけるでしょう。エル・サルバドル西部のこの地域では、ソンソナテ県とアウアチャパン県を走るアパネカ・ヤマテペクの山並みと、その緑豊かな斜面に混在する村落とコーヒー農園を一望できます。サンタレティシアでは、コーヒー農園のツアーを楽しむことができますが、ツアーにはこの農園内で発見された興味深い考古学的遺物の見学も含まれています。アパネカの街は、スペインの征服者ペドロ・デ・アルバラドによって1500年代前半につくられました。街並みはスペインのコロニアル建築の影響を受けています。海抜4,773メートルの高地にあるため、質の高いコーヒーを栽培するのに理想的な温暖な気候になっています。これより少し低地に位置するフアユアではコロニアル調の村の雰囲気が味わえます。さらに標高の低い南の方角には、ナウイサルコの街があります。この街はラタン家具の産地として有名です。街のいたるところに工房があり、職人の作業やラタンを編みこんでゆく過程を見たり、ユニークなラタンの商品が豊富にならぶギフトショップでお買い物ができます。ナウイサルコではめずらしい体験をされることでしょう。夕方になるとインディオの商人たちが手作りの品物を持ってやってきて、夜店の支度を始めるのです。

自然への探検
この国を訪れた人はしばしば、エコ・ツアーのすばらしさに驚かされています。独特でたいへん興味深い三つの環境生態系―熱帯乾燥林、雲霧林、そして太平洋岸河口のマングローブ林―を探検することができるのです。エル・サルバドルは世界でも希少な、自然のままの熱帯乾燥林が見られる国です。エル・インポシブレ国立公園には深い渓谷があり、熱帯乾燥林が存在する地上最後の場所の一つです。他の熱帯乾燥林は耕地や家畜放牧のために伐採されてしまったのです。この国立公園はサルバ・ナテューラという環境保全団体によって管理され、地域住民と協力して5,260ヘクタールの熱帯乾燥林を守るとともに、住民に対してレンジャーやガイドの研修も行っています。モンテ・クリスト国立公園では別のタイプの森林が見られます。雲霧林が見られるこの国立公園はエル・サルバドルの北西、ホンデュラスとグアテマラとの国境にあります。ツアーの出発点は、美しくエキゾチックな原種のランが見られる「100年庭園」です。公園内には「エル・トリフィニオ」と呼ばれるポイントがあり、ここでは何歩か歩くだけでこれら三ヶ国の国境を踏み越えられるという、特別な経験を楽しめます。これらの国立公園では、温帯や熱帯の様々な動植物を目の当たりにすることができます。太平洋沿岸の平地では希少な海洋環境が見られます。55キロメートルにわたる海岸には27の島々、19,000ヘクタール以上のマングローブ林があり、イキリスコ湾を船で探検することもできます。 マングローブ林に生息する海鳥のコロニーのバードウォッチングも心躍る経験となるでしょう。エル・サルバドルには513種の鳥類が確認されていますが、その生息環境は多種多様でバードウォッチングを充分に堪能できます。

火山
小さな国にもかかわらず25もの火山があるエル・サルバドルの景観は、火山が主役といってもいいでしょう。火山はコーヒーやサトウキビなどの農作物栽培に欠かせない肥沃な土壌をもたらし、この国の農業に大切な役割を果たしてきました。火山はまた、自然を楽しむための観光にも大いに貢献しています。なかでも特に有名な火山が、セロ・ベルデ山(標高2,030メートル)、イサルコ山(同1,910メートル)、サンタ・アナ山(同2,365メートル)と美しい湖、コアテペケです。もっとも若く有名な火山はイサルコ山です。現在は休火山となっていていますが、かつて「太平洋の灯台」と呼ばれたこの火山は、沖からも噴火口が見え、船の舵取りの目印になっていたほどです。セロ・ベルデ山は老いた火山で、雲霧林に覆われています。森の中をハイキング・コースに沿って歩いたり、この地域特有種のランの庭を見たり、壮大なイサルコ山とその背景に太平洋を臨みながら、レクリエーション広場でピクニックを楽しむことができます。ジョパンゴやコアテペケのような湖をはじめとするエル・サルバドルの主な地質的特性の多くは火山に由来するものです。

芸術・工芸・伝統料理
もともと勤勉なエル・サルバドル人の芸術家たちが、この国の色彩豊かな街や村で仕事に励む姿をみることができます。そのバラエティに富んだ作品はお土産やプレゼントに最適です。チャラテナンゴ県の山間の村ラ・パルマでは手描きで絵付けされた工芸品、ヨバスコではユニークなハンドメイドの粘土製ミニチュア・フィギュアやジオラマ、サン・セバスチャンでは織物というふうに、各地でそれぞれに特色ある手工芸品が作られているところを見てまわることができます。中でも最も人気のある手工芸品は、北部のホンデュラス国境付近にあるラ・パルマの山村で作られています。村中に100余りある小さな工房で、木や陶器、革に幾何学模様が描かれています。人気の高いこの模様を村人たちに伝えたのはエル・サルバドルの著名な芸術家フェルナンド・ヨルトです。サン・サルバドルにあるヨルトのアート・ギャラリー「エル・アルボル・デ・ディオス」のギフトショップは一見の価値があります。そこではヨルト自身の絵や手工芸品も鑑賞できます。ギャラリー内のレストランでは、ヨルトが独自のスタイルでデザインしたテーブルクロスやナプキンが使われています。このレストランでは大好評の郷土料理「ププサス」がおすすめです。この美味な料理は、生地の厚い丸いトルティアの中に、チーズ、リフライド・ビーンズ、チチャロン(ベーコンのようなもの)のどれか、または三種のミックスを詰めたものです。ププセラスと呼ばれる女性たちが、丹念に下ごしらえし、昔ながらの土製の鉄板で焼きあげ、クルティド(たいていはチリのはいった酢に漬けた千切りキャベツ)や新鮮なトマト・ソースを添えて、あつあつのうちにテーブルに運んできます。エル・サルバドル料理は豊かでバラエティに富んでいます。

10年以上前に和平協定に署名して以来、紛争の平和的解決の手本となったエル・サルバドルは、政治の安定と経済の復興を謳歌しています。マクロ経済指標ではチリに次いでラテン・アメリカ第2位の実績を誇り、中米地域の大統合という明るい将来に向かっています。観光産業は、エル・サルバドル政府にとっての中軸に他なりません。それは政府が、これからの中米統合に貢献できるような文化交流をはかり、世界中の人々と友好関係を築きたいと願っているからです。私たちはエル・サルバドルを訪れる人々を心から歓迎します。活気に満ちたこの国には、新たな発見と新鮮な経験がいっぱいです。心躍る未知なる場所、豊かな文化と自然に恵まれた中米があなたを待っています。
―在日エル・サルバドル大使館提供