武器を鍬に変えて
社会正義を維持しつつ簿記やマーケティング、収益を中心とすることを学ぶグアテマラの元ゲリラ

 

ピーター・ベイト(グアテマラ、エルペテン省)

 グアテマラ北部のエルペテン省にある共同体「ヌエボ・オリソンテ(=新しい地平線)」。この共同体の正門を入って最初に目に入るのは赤いコカコーラの看板が飾られている店である。そして隣接するドクター・エルネスト・チェ・ゲバラ診療所の白い壁には今は亡き革命の英雄ゲバラの大きな写真が下がっている。

 かつてはエルペテンの武装反乱軍を率いていたこともあるこの共同体の代表者エウセビオ・フィゲロアは、この相対する2つの文化の象徴を軽く受け流し、「コカコーラの看板は売上を伸ばすために掛けてある。ドクター・エルネスト・チェ・ゲバラ診療所という名称は、司令官になる前のゲバラが医師であったことに由来する」と説明する。 起業に対する意欲と共産主義に対する信奉が一つに解け合っていることも独特だが、この共同体の独特な点はこれだけではない。900haの農地を開拓した元左翼ゲリラが、何と経営管理の改善を目指して国際金融機関米州開発銀行(IDB)と協力しているのである。

 この共同体は、グアテマラで36年間続いた内戦で戦った左派グループの一つである革命軍の元兵士たちが1998年に築いたものである。現在では、独自の託児所、幼稚園、小学校も揃い、400名以上が生活している。診療所には基本的な医薬品が揃い、グアテマラシティや北米、欧州から医師が来て巡回診療を行う。

エウセビオ・フィゲロア

 その前にもIDBはこの共同体と間接的なつながりがあった。戦後の再定住プログラムに資金を提供するグアテマラ全国平和基金を支援していたのである。また、IDBからの資金は、政府運営による社会投資基金を通じてこの共同体の託児所にも渡っていた。

  このプロジェクトに密接に関わっていたIDBのスペシャリスト、ロレーナ・メヒカノスは、「他のグループが辺境の地に土地を求めているのに対して、ハイウェイに隣接する土地を買うことにした彼らの選択は賢明だと思った。また、試練の時を乗り越える団結力も並々ならぬものだった」と語る。

新しい方向性

  IDBは、この共同体のビジネスモデルを評価し、「負債を払えるだけの黒字を出すことは絶対にできない」という結論に達した。共同体の人々には、投資を行う資本、そして、経営力を高め、新しい農業技術を学ぶ教育訓練が必要だった。一般的な融資は解決策になりそうもなかったが、それ以外にも方法があった。貧困層や弱者層の経済発展を推進する地域おこしプロジェクトに資金を提供するIDBの社会起業プログラムに助けを求めることができたのである。

 プロジェクトは、零細企業専門家であるフェルナンド・カンペロを長とするIDBチームが共同体のメンバーと協力して設計。カンペロは、「元々兵士だった彼等はよく統制が取れていた。それはある意味で資産だったが、ビジネスマンとしては、企業家としてのビジョンを修得し、マネジャーとして成長しなければならなかった。可能性はあったが、背中を少し押してやる必要があった」と語る。

 全文はhttp://www.iadb.org/idbamerica/index.cfm?thisid=2457(英語)にてどうぞ。

イラスト:ジョージ・イレフィ

 

 


 


Copyright,2003(C)