4人の受賞者に共通する不安な展望
短編小説コンクールが浮き彫りにするカリブ地域の生活の別な側面


ロジャー・ハミルトン

 目の前で問題が起きているにもかかわらず、殆どのティーンエージャーは社会の病巣について深く考えない。しかし考えるティーンエージャーもいる。そしてその結果は暗澹たるものである。

1等賞 キメレ・ジョディ・ギブソン

 英語圏のカリブ地域の青少年を対象としてIDB文化センターが主催した短編小説コンクールの最終選考に残った17人の大半は、貧困、麻薬、身体的虐待、アルコール、ギャングを小説のテーマにしていた。彼等がこうしたテーマを選択したのは、普通以上の経験をしている人が身近にいて、そうした人々に対する愛情があったからである。

 ある作品では、ひどい虐待夫を射殺したばかりの女性が登場する。トリニダードトバゴのキメレ・ジョディ・ギブソンは、1等賞の賞金1,000ドルを獲得した「詐偽(Deception)」と題するこの作品で「彼女は彼女に一瞬の幸せと生涯にわたる苦痛を与えた男を殺したのだ」と書いている。

2等賞 ラレリア・ヒタンハリ・アホディ

 ギブソンは、作品のテーマについて「肉体的虐待、精神的虐待に対する認識を広める必要がある。虐待の被害者は虐待に依存するようになっている。虐待の被害者は、虐待されるのは自分に落ち度があるからと思い込んでいることが多く、虐待する側は往々にしてそれを逆手に取って利用する」と説明している。

3等賞 ジョエマエ A. ウォーカー

 2等賞は、ジャマイカのラエリア・ヒタンハリ・アホディアが貧困、麻薬、望まない妊娠、ギャングという悪循環を書いた「ダイアン(Diane)」という作品である。この作品は、妊娠してもなお教育を受ける決意をしている主人公のダイアンが学資のために麻薬の運び屋になり、飲み込んだコカインの包みが体内で破れ、行き当たりばったりの手術で命拾いするものの胎児が死んでしまうという物語である。

3等賞 バネッサ・アリシア・チー

 3等賞を受賞したバハマのジョエマエA. ウォーカーの作品も麻薬とギャングを描いたものである。主人公のビューラ・ロールは、兄弟が麻薬の世界に落ち込み、全く姿を消してしまう様子を見つめている。トリニダードトバゴのバネッサ・アリシア・チーも、中流階級の語り手が貧困、麻薬の不正取引、児童労働搾取へと入り込んでいく「月の暗い側(The Dark Side of the Moon)」で3等賞を受賞し、「全ての読者に、社会変革に不可欠なものとして真実に向き合ってもらいたいと考えている」と書いている。

 カリブ地域の7ヶ国から44作品の応募があった。審査員は、ワシントンD.C.のハーバード大学の英文学の教授であるとともにカリブ研究プログラムの責任者でもあるエブリン J. ホーソーン、本誌のロジャー・ハミルトン編集長、IDB文化センター演奏会/講演会コーディネーターのアン・ベナが務めた。

 受賞作品は、2004年初頭にIDB文化センターのウェブページに掲載されることになっている。

 



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