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最良のプロジェクトが採用されることを願って
連邦政府予算の獲得を目指してライバルに勝つ提案書の作成を迫られるチリの遠隔地域の自治体 |
クリスティーナ・マック・カルロック
「近代的な寄宿舎付き高校にしたい」というコルブン高校のギジェルモ・ラマジョ・アルテアガ校長の提案が採用されるのは望み薄だった。サンティアゴの南250kmにあるエル・マウレという農村地域の住民の中等教育を目的として1997年に開校したこの高校には募集人員の2倍もの応募者が殺到していた。また、生徒の5分の4は遠方出身者で寄宿舎が不可欠だった。
ラマジョが提出した提案書が認められて予算を確保するには、341の市町村から提出された数百の提案書と競わなければならず、提案書が計画省に上げられるまでにはチリの13の地方行政機関を経なければならなかった。それはライバルとて同じだった。そしてこの計画省で、技術や経済、財務、機能の基準に照らして各提案の評価が行われ、その審査に合格した提案のみが、国内投資制度の対象として国内地域開発基金(FNDR)から資金を得ることができるのである。多くは途中で脱落する。
が、コルブン高校の提案は採用され、2003年3月には、寄宿生120名を収容できる立派な新しいビルが竣工の予定である。ラマジョは、「地域全体に開かれた学校が建設できるのは喜ばしいことである」と語る。
FNDRが融資するプロジェクトは、首都から遠く離れているという地理的な事情によって、住民のチャンスが制限されることが多い国において地方・地域分権化の推進作業の一環として行われるものである。IDBは4回に渡り、総額3億7,400万ドルの貸付を行ってFNDRをサポートしている。FNDRは1980年代初期に設立され、受益者自らが企画したプロジェクトに対して資金を提供しており、国内資金の分配を公平化するプログラムであるとともに、地域行政や市町村の管理能力や企画能力を向上させるツールにもなっている。
資金提供を受けられるプロジェクトの分野は、教育、保健、衛生、道路、電力、地方電話サービス、堤防、漁業と幅広い。省庁による保健や教育への投資は人口密集地域が中心になる場合が多いが、FNDRは遠隔地、またはチャンスが少ない地域に手を差し伸べることを目的としている。
チリの市町村は、教育や保健に資金を投じる権限が認められ、それに対して中央政府から割り当て金が支給される。FNDRの地域開発部の部長を務めるフリオ・ルイス・フェルナンデスによれば、「FNDRは、省庁が支援しているプロジェクトの補填的なプロジェクトに資金を提供している」と言う。FNDRの支援は、計画省が定めた国内投資制度の方法に準じて分配される。プロジェクトの提案は自治体や地域が行う。
チリの学校では、教育改革の一環として午前か午後の半日制から全日制への移行が進んでいる。そのため、一日中教室を使用する生徒の数が増加し、それに対応するためにスペースを増加する必要が出ている。新しい施設を建設する場所や方法は各市町村が決定する。
IDBのチリ担当者であるフリオ・アンヘルは、「FNDRの影響は、教育や保健サービスの向上による生活の質の改善にとどまらない」と言う。FNDRの主な趣旨は個人の充足感なのである。アンヘルは続けて次のように述べている。「チャンスを求め、地方の寒村を捨てて大都市に出て行ったものの、結局貧困層の仲間入りをしてしまう例は多い。今日では、FNDRによって開発という新しい軸を持った(人を引き付ける)磁石ができた。そして、その磁石は、村人に『転出が唯一の選択肢ではないこと』、『村人の土地は村人を必要としていること』、『FNDRは変化とチャンスをもたらすこと』、そして『村人も貢献できること』と気付かせるのに一役買っている。」
北から南へ
チリ北部沿岸の都市アントファガスタは、こうした変化の様子を示す例である。住民は最近まで市の海岸線まで行くことができなかった。海岸線はその価値がないがしろにされ、見捨てられていたのである。ところが、FNDRから沿岸道路建設の資金が提供されたのを受けてビーチリゾートが建設され、不動産価値が上昇し、地方経済が回復した。そして、それに伴い生活水準も向上したのである。今では、アントファガスタ市民は、市の新しいイメージを誇りにしている。
これ以外にもプロジェクトの例は全国に数百もある。セロ・ナビアにある医療センターもその一つである。このセンターの施設は元々一時凌ぎで狭く、住民は医療を受ける時には他の施設に行っていた。しかし、新しいセンターが開設されると、住民は戻ってきただけでなく、センターに「出資」も行い、その維持にも力を貸すようになったのである。
4万人の低所得者を対象としているセロ・ナビア・コミュニティ・センターの所長を務めるパトリシア・ベガは次のように述べている。「この地域にとって、このプロジェクトは生活の質や注目度の全蔓的改善につながっている。住民は、公共施設が蔓倒を見てくれると思えば進んで寄付をする。医療センターのレイアウトが適切で、広々と明るくなれば、質の高い、より良いサービスを提供することができる。」
また、この新しいセンターには、地域団体用のスペースもある。これについて医療センターは、次のように説明している。「地元の人口の13.7%が属する地域固有のマプチェ文化との結び付きがあることを誇りに思っている。「マチ」と言われる伝統的な民間心霊治療師も週に1回来て社会組織活動の手助けをしている。」
分権化への刺激
また、FNDRは、地方管轄区の管理能力や立案能力を強化することによって政府の分権化に協力してきた。アンヘルは次のように説明している。「資金は、住民が充分にそれを運用できることを示して初めて分配される。住民が住民自身のプロジェクトを企画し、多数の他のプロジェクトとの競争を経て、その真価が認められなければならない。これは一種のトレーニングである。なぜならば、地域における分権化によって機関の能力が強化されているからである。」
FNDRにより、国内の主要大都市圏以外に資金を投じることができるようになった。また、地方管轄区の意思決定機能が強化され、自らが開発の軸を定め、中央とそれ以外の地域との大きな社会経済的格差を円滑に解消できるようになっている。
この10年、チリでは社会的・地域的統合が進み、それが国内の貧困削減推進に役立っている。1990年に38.6%だった貧困率は2000年には20.6%に下がった。アンヘルは、「この種の革命が大いに効を奏し、貧困は半減した。この面でFNDRの功績は大きいと思う」と述懐する。
(原文をご覧になりたい方はhttp://www.iadb.org/idbamerica/index.cfm?thisid=1493をご参照ください。)
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チリにあるこの農業学校の教室は地域開発資金で建設された
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