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| 社会援助の新しいアプローチ
貧困の根源治療のみならず、対処療法にも取り組む費用効果の高い方法を見出したコロンビア |
ダニエル・ドロスドフ (コロンビア、ボゴタ)
ボゴタの郊外では、男女を含めたあらゆる年齢の人が、最低賃金ではあるが、溝を掘り、手押し車で土を運び、コンクリート道路の建設に携わっている。
その多くが母子家庭である、農村の低所得世帯には、子どもを学校に通わせ、定期的に健康診断を受け、適切な食生活をおくれるよう手当が支給されている。
また、全国各地で若者を対象に、3ヶ月の集中職業訓練が実施されており、これに加え、3ヶ月の実務研修が使用者の下で行われ、定職に就く機会の拡大が図られている。
社会支援ネットワークと総称されるこの3種類の取り組みは、コロンビアの貧困対策の変革に役立っている。コロンビアは、富が貧困層に少しずつ届くのを待つのではなく、困窮する人々に迅速に資金援助をするという大規模なプログラムを開始したのである。
「コロンビアでは、直接的な社会援助といえば、以前は軽蔑的な見方をされていた。」と指摘するのは、計画立案担当の次長であるアレハンドロ・ガヴィリアである。しかし、そうした見方もコロンビアが1998年から99年にかけて経験した深刻な経済危機の中で変わった。ガヴィリアは、「大恐慌以来の最悪のものだった。」と言う。
「経済危機から家族を守る手だてなどなにもなかった。」とガヴィリアは当時を振り返る。その当時まで、政府は、貧困の原因に対処しようと、健康と教育に社会投資を集中させる施策を採っていた。しかし、他のラ米諸国と同様、コロンビアも経済危機の中にあって緊急援助措置を講じざるを得ない事態に追い込まれ、ガヴィリア曰く、政府は「貧困の根源治療だけでなく、対処療法の必要性を感じた。」そこでコロンビア政府は、ゼロからやり直し、恵まれない境遇にある人々に直接資金援助をするというシステムを構築することを決めたのである。
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ボゴタ繊維工場で訓練を受けるコロンビアの青年職業訓練プログラムの参加者
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過去において、しばしばこのような努力に水を差した失策を自覚し、コロンビア政府は、このプログラムが成功を収めている他の国々の経験を体系的に検討した。最終的に政府は、メキシコのプログレサ・プログラムの経験に基づく家族健康・教育手当、チリのプログラムに基づく若者の職業訓練、およびアルゼンチンの経験に基づく緊急公共工事プロジェクトという、貧困者への直接の支払いを特徴とする3種類のプログラムの設置を決定した。
これらのプログラムは2006年まで実施される予定で、2000年に承認されたIDBの1億7,000万ドルの貸付をはじめ、その他、内外からの資金調達によって支えられている。プログラムは、極貧の暮らしを送る1,000万人のコロンビア国民のうちおよそ180万人に益すると見込まれる。
プログラムは、地方自治体、地域社会団体、民間セクターおよびNGOによって実施されており、共和国大統領府の120人の公務員が活動の調整に当たっている。また、プロジェクトが受益者に与える影響、地元経済に対する相乗効果、そして政府の費用・便益を判断する評価が行われる計画である。この評価結果に基づいて、政府が最終的に人的投資プログラムをどのように再編していくかが決められる。
ガヴィリアは、「個々のプログラム以上に重要なことは、これまでに全くなかったような組織制度が構築されつつあるという事実だ。私たちは将来の社会政策の基盤を確立しつつある。」と述べている。
家族手当プログラムは、現在、失業率が高く、政府の援助がほとんど、あるいは全く行き届いていない小さな農村の地域社会で実施されている。「これらの自治体はこれまでまったく顧みられることがなかった。」とプログラム・コーディネーターのリタ・コンバイルサ・クルスは言う。プログラムは、子どもを学校に通わせている家庭に対し、毎月およそ6ドル相当の助成金を支給している。ハイスクールに通う子どものいる家庭には、月12ドルが支給されている。支給額は高学年の子どもに対してほど高くなる。というのは、コンバイルサの説明によれば、高学年になればなるほど中退して仕事を探す確率が高くなるからである。
プログラムの副次的な利点の一つは、プログラムの参加時に、参加者に正式な身分証明書が出される点である。この書類の所持者には、投票資格と、医療などほかの社会給付を受ける権利が与えられる。
「ユース・イン・アクション」プログラムは、都会に住む18歳から25歳までの若い失業者を対象にしたものである。 (関連記事:http://www.iadb.org/idbamerica/index.cfm?thisid=1393&lanid=1) また、それよりも年齢が高い労働者に対しては、「エンプロイメント・イン・アクション」というプログラムが用意されている。
エンプロイメント・イン・アクションに参加する就職希望者は抽選で選ばれ、また、与えられる就労の期間は最長でも5ヶ月間のみである。しかし、3人の子どものいるアレクサンダー・リンオン・モラ(28歳)にとっては、月117ドル稼げる機会は、「天からの贈り物のようなもの」であるという。モラをはじめ、数十人の男女労働者が、ボゴタにあるボサという町で300メートルにわたる道路の建設作業に配属された。彼らは15日間の研修を受けた後、溝を掘り、土を運び出し、圧縮成型器を使ってコンクリートの基礎を敷く。
これは骨の折れる仕事だが、4人の子どものいる30歳のシングルマザー、ジャディラ・サーヴェドラ・ロメロはこの仕事に就けて次のように喜んでいる。「他に仕事はない。確かに重労働かもしれないが、畑で働くよりましだ。」と。
38歳の車椅子の障害者、カルロス・アルベルト・アラオスもボサで臨時仕事に就いている一人である。通信士の仕事を解雇された彼は、現在は建設プロジェクトでタイムキーパーの仕事をしている。
この5ヶ月の仕事が終わったら彼は何をするのだろうか。
アラオスは言う、「自分は楽観主義者だ。嵐のあとには、静けさが訪れる。」
(原文をご覧になりたい方はhttp://www.iadb.org/idbamerica/index.cfm?thisid=1525をご参照ください。)
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