「欧米多国籍企業の中南米投資」シンポジウム
投資国・受入国と産業の実態   

 

 2001年12月14日、当事務所は、上智大学イベロアメリカ研究所と共催で、「欧米多国籍企業の中南米投資―投資国・受入国と産業の実態」シンポジウムを開催した(会場:上智大学中央図書館)。本シンポジウムは、IDBジャパン・プログラム(注)のリサーチプロジェクトの一つ「多国籍企業の対ラ米直接投資」の研究成果最終取り纏めに先立ち、研究に携わった4名の研究者、すなわち上智大学 堀坂浩太郎教授、神戸大学 細野昭雄教授、(株)社会基盤研究所 古田島秀輔客員研究員、つくば国際大学 竹内恒理助教授と中南米地域(ブラジル、メキシコ)からの2名の専門家による発表をもとに討議を行う形で進められた。

 (注) ジャパン・プログラムは、日本政府の拠出資金をもとに1999年にIDBに設けられたプログラム。日本を含むアジアとラ米・カリブ海地域相互間で、経済・社会開発戦略や政策を策定していく際の専門的技術・知識の共有化、ベスト・プラクティスの移転を図ることを目的に運営されている。 なお、本研究に携わった4名の日本人研究グループは、過去7年間にわたって、中南米における企業研究を継続。これまでに「ラテンアメリカ企業論―国際展開と地域経済圏」、「ラテンアメリカ民営化論―先駆的経験と企業社会の変貌」の2冊を刊行している(いずれも日本語)。

 シンポジウム参加者約140名。(協力:(財)海外投融資情報財団(JOI)、(財)国際金融情報センター(JCIF)、(社)海外コンサルティング企業協会(ECFA)、(社)ラテン・アメリカ協会(LAS))

 シンポジウムにおける発表(スピーチ)の概要は以下のとおり。

 シンポジウムの背景と狙い(堀坂教授)

 ラ米の企業社会の変貌は、まず民族系民間企業の国際化によるローカル多国籍企業の形成に始まり、政府系企業の民営化戦略を通じて民間中心の市場経済が誕生し、多国籍企業の進出ラッシュによって世界企業が作り出す「コスモポリタンな企業社会」が出現する形で進展してきた。そこでは民族系民間企業と世界の国々の活発な企業動向が交差し、切磋琢磨する現象が見られる。本研究グループの意図は、この様な企業社会の現況を調査し、外資系多国籍企業がどのような役割を担い、何を狙っているかを明らかにすることにある。今回のシンポジウムはこの様な研究の一端、すなわち、ラ米企業社会の急激な変貌を次の三点に注目して紹介したい。

 @80年代の「失われた10年」を契機に歴史的政策転換が行なわれたこと(特に輸入代替工業化から経済自由化、市場開放による「民間」を主体とした競争経済への転換)、A欧米多国籍企業による極めて旺盛な直接投資の動きがみられること、B多国籍企業をキーワードにラ米の今後をどう見るか(すなわち、多国籍企業は経済安定の助人となり得るか、産業力・輸出力強化の担い手となり得るか、また、企業市民となり得るか)、以上の三点である。

 なお、本題に入る前に次のような事項を共通理解として整理しておきたい。@発展途上国に対する資金供給のウエイトは今や銀行融資から海外直接投資(FDI)に移りつつあること、Aラ米における国境を越えたM&A実績額(多国籍企業による活発な投資の一つの証左と考えられる)はアジアや日本を上回ること、Bラ米の500大企業に占める外資系企業数比率は98〜99年に46%に達し、さらに製造業100大企業では59%、輸出200大企業では48%と外資系企業の生産、輸出に占める割合が高いこと、Cラ米における多国籍企業のFDI戦略は、天然資源確保、投資国内や地域市場に対するアクセス確保、世界市場における競争力獲得に大別できるが、それぞれの戦略毎に特定の分野に集中して投資が行われていること。

 スペインの対ラ米投資  (細野教授)

 (1) スペインは、90年代の後半から対ラ米直接投資を急激に伸ばし、そのプレゼンスを高めた。スペインの直接投資の特徴は、金融部門と電力・テレコミを中心とする公共サービス部門に投資の集中が見られることである。国別では、ブラジル、メキシコ、チリ、アルゼンチンに対する投資が大きい。

 (2) ラ米投資急増の背景には、@EU域内競争の激化に対抗するため事業規模を拡大して競争力強化を図る必要があったこと、AEU統一市場形成に伴いスペイン企業の資金調達能力が拡大したこと、Bラ米における急速な民営化に対応できるだけの経験をスペイン企業が積んでいたこと、以上の三要因をあげることができる。

 (3) 主要産業(通信、電力、石油・天然・ガス、金融)におけるスペイン企業の対ラ米投資戦略を見てみよう。

 @通信分野のテレフォニカの場合、EUにおける通信事業自由化対応策として事業規模を拡大する、ラ米における通信分野民営化の動きに対応する、ラ米におけるテレコミ事業の潜在性に着目する、を戦略としてあげることができる。グループのラ米における収入は、94年の14%から98年には31%に急増している。同グループは、通信の様々な分野で、米国ヒスパニックを含むスペイン語人口圏を対象とした戦略を進めている。

 A電力分野では、EUにおける電力自由化に対応して、スペイン電力分野のトップ企業エンデサがラ米に進出している。エンデサの投資は、多角化、国際化、そして戦略的連携を目指すものである。また、同社は、ラ米の電力需要拡大の見通しと、自由化、民営化が実施されている点に目をつけた。まずチリに進出し、そこを拠点とした投資を展開した。今や、エンデサは、ラ米全体で2,500万人の顧客を確保。ラ米地域で、同社利益の40%を稼いでいる。

 B石油・天然ガス分野におけるレプソルは、当初アルゼンチンに進出。同分野でアルゼンチン最大の企業となるとともに、ブラジル・ボリビア間をガス・パイプラインで結ぶガス輸送会社の経営権を獲得。更にチリ、ペルーにも進出している。

 C金融では、EU域内における競争激化に対処するため進行したスペイン国内の金融部門再編成の際に培った技術とノウハウを活用しつつ、リスクの分散化を目指して、バンコ・サンタンデル・セントラル・イスパノ銀行とバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行が、ラ米に進出した。この二つの銀行とCTIBANKは、今やラ米におけるトップ三行となっている。また、99〜2000年に、両銀行はブラジルとメキシコへの大規模投資を行っている。前者はブラジルBANESPA、メキシコBANCO SERFINを、後者はメキシコBANCOMERをそれぞれ買収している。

 米国の対ラ米投資  (古田島客員研究員)

 (1) 米国は、世界のFDIの20%強を占める世界最大の直接投資国である。ラ米においても同様である。

 (2) 近年の米国のFDIをみると、金融・サービス分野に対する投資割合が増え、製造業に対する投資割合が減ってきている。製造業FDIは、石油化学、機械、電子・電気機器、食品、自動車と伝統的分野が中心である。米国多国籍企業の海外子会社依存度は、資産割合、売上割合、純利益割合のいずれの指標に着目しても高まっている。

 (3) 米国FDIが増大した背景は、以下のとおり。@世界的過剰流動性の結果、先進資本市場から途上国への資本移動があった。A米国の伝統的産業(鉄鋼、石油化学、電子・電気機器、自動車)分野に対し、欧州、日本企業が新生産方式で競争に参入。さらには、新管理方式で競争力をつけてきた。これに対抗するためFDIを増加させた。B技術の発達で、物流、情報格差が軽減。このことは、航空サービス、通信、メディアコンテンツの質量両面における変化、商品の軽薄短小化をもたらし、その結果、企業活動もグローバル化が容易となった。C地域経済圏(サブリ−ジョン)が形成され、新しい規模の経済が出現した。また、途上国の構造改革により、投資リスクも軽減した。D米国の投資は規模の利益を追求する伝統的分野と先駆者利益確保を目指す先端技術分野に分かれるようになってきている。このうち、先端技術分野では、大学や企業研究機関が産業・地方自治体と協力して米国内に産業クラスターを作る地域開発手法とFDIが同時に見られるようになってきている。

 (4) 国別ではブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリに向けて大規模投資が行われている。90年代の投資を見ると、米国のラ米投資は特定の国、特定の業種に集中しており、まだ過渡期にある可能性がある。ちなみに、94年以降の米国の対ラ米FDIはほぼ横ばいである。

 (5) 米国の対ラ米投資の今後の展望として次の2点を挙げたい。@エレクトロニクス、メディア、バイオ、ナノテクノロジー、ライフサイエンスなど米国多国籍企業の先端技術分野における途上国、ラ米投資はまだ進んでいない。今後、この分野における将来の活路をラ米に求める可能性がある。AFTAA(米州自由貿易圏)進展に伴って米国とラ米の関係は、単なる市場や労働コストセンターではなく、パートナーとしての関係(運命共同体)が強まり、FDIも増大していくと考える。

 ドイツの対ラ米投資  (堀坂教授)

 (1) 近年、ドイツの名前は、ラ米に対する主要投資国リストから消えている。対ブラジル投資を例にとると、95年まで第2位を占めていたものの、96年9位、2000年第7位(絶対額の5%)となっている。これは、スペイン、オランダ、ポルトガル、フランス等新規投資国の出現による相対的地位の低下による。もともとドイツは海外投資の少ない国であった。その中でラ米が最大の地位を占め、とりわけ、ブラジル、メキシコ向けが多かった。しかしながら、ベルリンの壁崩壊以降、ドイツ企業の関心は国内旧東ドイツに向き、また東欧、ソ連に向かった。また、EU域内の隣接国へのプレゼンスが重要となった。東アジアや米国にも投資が向けられたが、ドイツ企業はラ米の変化に対して鈍い反応しか示さなかった。一見したところ、ドイツ企業は、日本企業に似てラ米投資に「消極的」であるように見える。

 (2) しかしながら、ドイツ企業のプレゼンスは特定の国(ブラジル、メキシコ)と特定の産業(化学、自動車・同部品、機械、電子)に集中している。結果として、特定国の特定産業に大きな影響力を持つにいたっている。また、日、米多国籍企業に比べ再投資比率が高く、地元密着型(ローカライズ)投資を行っている。民営化投資や大型M&A投資はないものの、底辺を広げる投資を拡大し、経営権もしっかり握っている。その結果、「サンパウロは世界最大のドイツ工業都市」と言われるプレゼンスを作り上げている。

 (3) ドイツは、時代に即応した対ラテン・アメリカ戦略を有し、ラ米諸国と戦略的政策対話を行っている。二つの大戦後、ラ米各国との関係修復は非常に素早いものであった。投資の少なかった時点で、官主導による「ラ米・コンセプト」の編纂を行っている。ドイツは、EUによる対ラ米通商交渉等地域統合メカニズムをうまく利用し、必ずしもドイツ単独では表に出ない形で関係強化を図っている。

 アルゼンチン向け直接投資と多国籍企業  (竹内助教授)

 投資受入国側に着目してアルゼンチンに対する直接投資を分析してみたい。

 (1) アルゼンチンに対する海外からの直接投資は、90年代に増加し、特に99年にはその額が急増した。

 (2) 「失われた10年」から新たな政策への転換が行われ、アルゼンチンにおけるFDIブームが出現したが、ブームの具体的要因・背景として、徹底した民営化、経済の自由化・安定化(通貨兌換制)、投資環境整備(投資法改定等)、豊富な天然資源、地域統合(メルコスール)による潜在市場規模の拡大、投資国側の活発な投資先発掘努力をあげることができるだろう。

 (3) 90年代後半に国境を越えたM&A投資(石油、電力、通信、銀行等)が増大し、アルゼンチンにおける外資系企業のプレゼンスが飛躍的に高まった。投資国は米国、スペイン、フランスの順である。アルゼンチンの総売上額に占める外資系企業の割合は、90年時点で35%程度であったものが、98年には60%近くまで高くなっている(ちなみに、ブラジルでは各々40%、50%)。ローカル企業の売上高が減少し、生き残り戦略として外資企業との合弁を選ぶケースが見られ、合弁事業の数が飛躍的に伸びている。純粋民族系企業のプレゼンスが低下し、アルゼンチンでは様変わりした企業社会が台頭した。

 (4) 多国籍企業による直接投資の果たした功罪について簡単に評価を下すことはむずかしい。アルゼンチンの場合、海外からのFDI増加と同時に、国内資本の海外逃避、対外債務の増加が平行して生じた。しかしながら、今後5〜10年のスパンでみると、アルゼンチンにおける産業再編に大きな影響を与えたといわれるだろうと考えている。

多国籍企業とブラジル経済   (オクタビオ・デ・バロス バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア・ブラジル法人チーフ・エコノミスト)

 (1) 外資にとってのブラジルの魅力は次のようなものだと考えている。新興市場として最大級の市場と潜在力を持っていること、中期的に非常に大きな経済成長が期待されること、中小企業も活気づいていること、種々の分野で技術フロンティアといえる地位を確保していること、優秀な人材がそろっていること、ニッチマーケットの可能性があること、である。こうした魅力ゆえに、ブラジルに対するFDI累積額は多くの国にとって多額のものとなっている。OECD統計では、米国、スペイン、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ等にとって、ブラジルが最大の累計FDI投資先国となっている。日本にとってのブラジル向け累計FDI額は、アジアのタイガー4ヵ国向けに次ぐ第5位を占めている。かつて、海外投資家がブラジル経済の不確実性に直面していた時とは様変わりである。

 (2) ブラジルのFDI受入額は、90年代になって増加し、2000年には、中央銀行の発表で403億ドル(グロス。再投資分を含む)に達した。(2001年は世界的にFDIが落ち込んだこともあり、ブラジルに対するFDIも273億ドルに低下したと推定。)

 UNCTADによると、99年のブラジルのFDI受入額は、米国、ベネルックス、英国、スウェーデン等に次いで第9位。2000年は若干低下し第11位であった。しかしながら、途上国の中では、依然として、ブラジルは中国に次いで第2位のFDI受入国である。92〜2000年の途上国全体に対するFDI総額の12.63%がブラジル向けであった。

 なお、ラ米全体のFDI受入額に占めるブラジルのシェアは、99年28.4%、2000年38.9%であった。

 投資国別では、中銀発表によると、95〜2000年のブラジル向けFDI累計総額の内訳は、米国26.3%、スペイン11.9%、オランダ7.9%等。日本は第6位4.9%(いずれも推計)である。

 (3) 分野別では、製造業・サービス業のいかんをとわず、すべてのダイナミックなセクターに対するFDIが見られるが、96〜2001年6月末累計FDIは、テレコミ22.1%、金融部門15.4%、電力・ガス12.5%等(推計)となっている。

 ところで、ブラジル向けFDIの多くは民営化投資と思われがちであるが、実際の統計では、民営化にともなう投資はFDI累計の25%に過ぎない。すでにブラジルで活動している既存多国籍企業現地法人に対する投資が全体の45%を占めている。ブラジルにおける売上トップ500社総売上高に占める外資企業の売上高シェアは45.6%に達している。ブラジルは、依然、貿易依存度が低く、貿易に関しては、最も閉じた経済の一つである。しかしながら、ブラジルにおける多国籍企業のプレゼンスは極めて高く、FDIに関しては、ブラジル企業社会は途上国経済の中で最もグローバル化しているといえる。

 (4) 変動為替相場制移行にともない国内貿易財価格の有利化から輸出数量が増加、ブラジルは多くの多国籍企業の輸出拠点となっている。変動為替レート、財政責任法に基づく政策の定着、インフレ・ターゲット政策の成功がブラジル経済の安定化につながっている。経済の安定は、ブラジルにおける多国籍企業の活動を支えている。短期的には、アルゼンチンの不確実性や国内政治リスクなどの要因もあるが、長期的に、ブラジル経済は上昇軌道に乗っており、その潜在力は大きい。2002年は大統領選挙の年であるが、誰が大統領になっても、このトレンドは続くと考える。さらに、将来的には、社会政策と所得格差是正措置で国内経済が拡大し、このことが国際競争力向上にも寄与すると予想している。

メキシコにおけるFDI―産業組織の台頭(メキシコ国立大学エンリケ・デュセル教授)

 (1) メキシコにおけるFDIには、以下のような特徴がある。@NAFTA誕生以前の90年から大きく伸びている。A数度の国際的な経済危機にもかかわらず、比較的安定して流入している。B米国からのFDIが圧倒的に大きく、米国市場との一体化が見られる。C多国籍企業間取引が大きく、メキシコ経済の他の部分との統合があまりみられない。

 なお、Cに関し、メキシコは、貿易も同一産業内(関連部品・製品の輸出、輸入)のものが50%に達している。メキシコクライスラーが米国クライスラーに輸出するような例である。

 (2) メキシコにおけるFDIは、90年代以降飛躍的に増大した。しかしながら、こうしたFDIをマクロ経済に対する実際の寄与の観点から分析することが重要である。

 FDIの拡大は、メキシコの貿易拡大(再輸出のための輸入取引拡大)と密接に関係している。メキシコの輸出額の太宗は再輸出取引に該当している。

 また、多国籍企業の活動に影響を与える国家・地方レベルの制度面の弱さが残っている。国内サポート産業の脆弱さも残っている。

 これらがあいまって、FDIは増加したものの、二極企業文化(再輸出のための組立・加工等を行う多国籍企業と国内市場顧客を対象とする企業群の二極化)の台頭(前者の企業群はメキシコの雇用、技術開発、人材育成にこれまでのところあまり有効でない) 問題等が生じている点に留意が必要である。

 繰り返しになるが、メキシコの貿易、特に対米貿易は、マキラドーラにみられたように再輸出を念頭においた一時的輸入構造を持っていることに留意が必要。こうした再輸出貿易では、メキシコ内国税も関税も支払われることがない。輸出者もマキラドーラ企業が大きなウエイトを占めてきた。FDIが活発な分野、企業の生産は大きく伸び、実質賃金も上昇した。しかしながら、同時に、これらの動きと無縁な地場中小・零細企業の雇用は減少した。

 こうした点は、具体例、たとえば、メキシコの電気・電子産業の輸出志向企業が多く集まり、メキシコのシリコンバレーとも言われるハリスコ州でも明らかである。

 もちろん、問題点の指摘は簡単でも、その解決はまた別である。ただ、二極化が克服されなければならない課題であることは間違いないと考えている。

総括 (細野教授)

 本日のシンポジウムを通じ、ラ米は、現在、東アジアと共に途上国地域内で最大のFDI受入地域であることが確認された。ラ米の旺盛なFDI受入れは、経済自由化、市場開放、規制緩和、民営化、地域統合にともなって進んだ。加えて90年代には世界的なグローバリゼーションも進展した。

 ラ米向けFDIにおける日本のシェアは大幅に低下している。投資相手国は、メキシコ、ブラジルに集中している。日本企業は、ラ米に関する、より正確で最新の情報の収集、調査、研究につとめ、これらの結果に基づいたリスクテイキングを行っていく必要があるだろう。現在のところ、日本企業とラ米企業の真の交流機会は乏しく、また、スペインやドイツの企業に比べ多くの日本企業は明確な戦略に欠けているようだ。日本政府としても、環境整備に資するさまざまな二国間あるいは地域との枠組み(自由貿易協定、フレームワーク協定、投資保護協定、租税条約)を検討していく必要があるだろう。いずれにしても、更なるラ米へのアプローチを戦略的に考えていくことが必要と感じる。

 シンポジウムではまた、ラ米各国におけるFDIの重要性を学ぶことができた。同時に、メキシコにおける二極化の指摘のように課題も明らかとなった。有意義なシンポジウムであったと考える。

 

 


 


Copyright,2001(C)